コザんちゅの肖像　第2回　宮島真一　　　2020.07

コザにカフェシアターなるものを立ち上げて5年が過ぎた。愉快な仕事仲間たちと
空き店舗を改装して作ったのだ。名前は「シアタードーナツ・オキナワ」（以下、シ
アド）。いわゆる映画館との違いを挙げてみる。まず、椅子がぎっしり並んでおら
ず、客席には20席程度の、大小様々な椅子やソファとテーブルがある。ロビーはカ
フェとして利用出来る。そして、手作りのドーナツを販売している。さらに、店主
がお客さんにやたらと話しかけてくる。それは私だ。
シアドをオープンした当初は、沖縄県内で制作された映画ばかりを上映していた
。実は県内で製作されている作品は、短編を含めると結構ある。でも、それらの多
くはイベント上映だけで、じっくりと期間を設けた機会を得られてないのが現状だ
った。それは勿体無いと思った事が、シアドのオープン構想のきっかけとなった。

現在、シアドでの上映作品を選ぶ基準の一つは、映画が持つテーマやメッセージ
に関心のあるコミュニティを探すということ。映画は作られた時が完成ではなく、
誰かに観てもらって初めて完成するのだ。より喜ばれるためには、作品が持つメッ
セージをしっかり受け止める必要がある。そうすることでお客さんの顔をイメージ
できる。そして、出来るだけ上映後のトークイベントを開催すること。映画の持つ
魅力を多くの方と感想を共有することで、お客さんの“考える力”を刺激し、コミュ
ニティを広げる可能性や、社会的な役割を担えそうな気がするのだ。映画にはそん
な力がある。映画館で作品に向き合う時間は尊い。それは自分自身と向き合う時間
でもあるから。私は「月に一度は映画館で映画を観よう！」と、これからも皆んな
に映画の魅力を発信していく。

THEATER DONUT OKINAWA by Vacant Store Pictures公式サイト

宮島真一（シアタードーナツ代表）
1973年生まれ。沖縄市出身。ライブハウス経営、会社員、映画製作スタッフ等を経
て、現在はテレビ番組『コザの裏側』メインMCやラジオDJとして活動中。2015年4
月「シアタードーナツ」をオープン。地域に根ざしたその取組みは、全国放送テレ
ビ番組「日本のチカラ」で取り上げられる。他、コラム執筆、コザのロケ場ガイド
、講演など、映画を届けるコミュニケーションをライフワークにしている。
シアタードーナツ・オキナワ
住所　沖縄県沖縄市中央1-3-17（胡屋バス停前） 電話　070-5401-1072