【コザんちゅの肖像 第1回】照屋林次郎さん
コザの芸能文化を支える三線職人
「三線をつくりはじめたのが16歳で、今67歳です。51年になります。祖父である(照屋)林山が始めたセンター通り(現在の中央パークアベニュー)の三線店を、米兵がよく遊びに来るので、ギターをたくさん置いた楽器店に変えて、三線店は現在の場所に移しました。弟子?いませんよ、三線作る以外のことが多くてついてこれないでしょうから。毎日4時頃には、地域の人や知り合いが来てしゃべったり、毎年やっている、“てるりん祭”の計画をたてたりするんですよ」。
“てるりん祭”とは、沖縄芸能に功績を残した照屋林助(愛称:てるりん)や諸先輩方を偲び、沖縄芸能を後世に伝えるお祭り。照屋林助さんの息子・照屋林次郎さん(愛称:りんぼーさん)が、手がけています。彼は三線制作に勤しむかたわら、自らもエンターテインメントの場を生み出してます。
「コザが本当の意味での音楽の町になるために、照屋林助や照屋林山、嘉手苅林昌らの銅像を作ろうか、なんて話しているんですよ。沖縄音楽の基礎を作り盛り上げた人達のことを知りたくなった時に訪れることができる場所があれば、ここからコザの芸能は盛り上がったのだと、後世に伝えられるんじゃないかと考えています」。
「そして今年は早くに中止を決定してしまいましたが、“てるりん祭”をどうしようかと考えていて、もう少し落ち着いたころにできればいいなと考えています」。
コザに住み続け、沖縄芸能・文化を受け継ぎ、広める活動を続けてきたりんぼーさん自身や彼の思いは、未来に残したいコザの宝そのものです。
(取材・文:中本菜月)
照屋林次郎(三線職人)
父は現代の沖縄音楽のルーツの一人とも言える“てるりん”こと故・照屋林助。兄はりんけんバンドのリーダー、照屋林賢。
長年、三線の作り手として活躍するかたわら、映画の美術や舞台美術の制作を手がけてきた。毎年、「照屋林次郎三線展」や「てるりん祭」などを企画している。
照屋林助三線店・てるりん館
住所:沖縄県沖縄市中央3-3-3
電話:098-937-6158